議決権行使基準

3D Investment Partners Pte. Ltd.
Last updated: October 2025

1.議決権行使に関する基本姿勢
3D Investment Partners Pte. Ltd.(以下「3DIP」)は、顧客の中長期的な投資リターン拡大を最終目的に、議決権行使を行う。この基準は、投資先企業に対して企業価値向上・持続的成長実現を促すための適切な議決権行使判断のベースを示すと同時に、投資先企業に明示することで、ディスカウント状態是正・企業価値向上・持続的成長実現への強い期待の表明につながると考える。したがって、この基準をあらかじめ投資先企業に示した上、議決権行使に際しては経営実績や結果についての客観的評価を用いることを原則とし、建設的な目的を持った対話(エンゲージメント)などを踏まえた上で、透明性・客観性・再現性のある行使判断に努める。

2.議決権行使判断の際に重要視する指標
3DIPは、投資先企業が株主資本コストを上回る高い事業収益性・資本効率を実現し、資本市場で高評価であることを常に期待している。投資先企業の本源的価値の顕在化と中長期的な成長がそのポイントと考え、議決権行使に際しても本源的価値の顕在化と中長期的な企業価値向上につながる経営戦略の実施、それをサポートするガバナンス体制が整備されているかを重要視する考えである。また、企業価値と密接に関連する株価および株価との関連性が近い指標を見ることで、客観性保持に努める。主たる指標とその理由は以下のとおりである。

3.議案の種類毎の議決権行使判断の目安
原則として以下の内容を判断の目安とする。

(1)取締役選任(監査役選任もこれに準ずる)
・TSR基準
継続的にTSRが配当込みTOPIXおよび同業他社平均を上回ることを求める。過去3年間のTSRが配当込みTOPIX以下または同業他社平均以下であった場合には、取締役の再任に反対する。

・ROE・PBR基準
ROEが10%以上かつ同業他社平均を上回ることに加えて、PBR(純資産修正後)が1倍超かつ同業他社平均を上回ることを求める。①直近のROEが10%未満である場合、②直近のROEが10%以上であっても同業他社平均以下である場合、または、直近のROEが10%以上かつ同業他社平均を上回っていても、③直近のPBR(純資産修正後)が1倍以下である場合、④直近のPBR(純資産修正後)が同業他社平均以下である場合には、取締役の再任に反対する。

・一株当たりEBITDARの成長率基準
一株当たりEBITDARの成長率が同業他社平均を上回ることを求める。過去1年間の一株当たりEBITDARの成長率が同業他社平均以下である場合には、取締役の再任に反対する。

・不祥事基準
企業価値に重大な影響を及ぼした不祥事や経営混乱等がないことを求める。これらがあった場合には、取締役の再任に反対する。

・株主利益の保護基準
株主との利益相反や著しい株主軽視など不適切な実績がないことを求める。これらがあった場合には、取締役の再任に反対する。

・ガバナンス基準
社外取締役が取締役会の過半数を超えない場合であって、ガバナンスに信頼が置けない状況と判断されるときには、取締役の再任に反対する。

・株主との対話基準
株主との対話やIR、情報開示に積極的であることを求める。株主対応に著しい不足があった取締役については、その再任に反対する。

・その他の適格性基準
企業価値の継続的劣後につながる不適切性や不適格性がないことを求める。不適格とみられる懸念や事情がある取締役または取締役候補者の再任または選任に反対する。

(2)社外取締役選任(社外監査役選任もこれに準ずる)
・独立性基準
投資先企業の経営陣から真に独立し、一般株主との利益相反が生じるおそれがなく、一般株主の代弁者として監督機能を発揮することを求める。東証の独立役員としての届出がない場合(東証または投資先企業の定める独立役員基準を満たしていないものと判断される場合)、在任年数が累積12年以上の場合、投資先企業および/または投資先企業グループ内に他の上場会社がある場合は当該上場会社(以下「投資先企業等」)と相互に株式を保有している企業(保有目的の如何を問わない)、投資先企業等の株式を保有している企業、投資先企業等が株式を保有している企業、投資先企業等の主要取引銀行、主幹事証券、業務提携先もしくは主要取引先(投資先企業等を主要な取引先とする企業を含む)、またはそれらに該当する企業グループの出身者である場合は、類型的に見て、一般株主との利益相反が生じるおそれがある者(独立性基準を満たさない)と判断し、指名委員会メンバーおよび当該候補者との事前の個別面談の結果やおよび/または過去の取締役会における社外取締役としての実績を勘案し、特段の事情(独立社外取締役として届出が行われないことが明らかである場合等)があると判断する十分な理由がない限り反対する。

・適格性基準
企業価値向上や持続的成長実現の観点から適切な意見を述べる知見を有し、兼職数や取締役会出席率等を踏まえて社外取締役としての責務を果たすために十分な時間や機会が確保できることが見込まれることを求める。兼職数が当該企業を含め5社を超える場合、当該投資先企業における直近期の取締役会への出席率が80%未満の場合、その他不適格とみられる懸念や事情がある場合には、当該取締役または取締役候補者の再任または選任に反対する。

(3)指名委員会メンバー選任(法定・任意)
・取締役候補者選定およびそのプロセスの適切性基準
企業価値最大化を実現するために、前項に定める独立性基準と適格性基準を満たす最適な取締役候補者を指名するプロセスが適切に実施されたことを求める。

専門性や経験の観点から、前項に定める社外取締役としての適格性があると判断できない者、類型的に見て、一般株主との利益相反が生じるおそれがある者(独立性基準を満たさない者)、すなわち、東証の独立役員としての届出がない者(東証または投資先企業の定める独立役員基準を満たしていないものと判断される者)、在任年数が累積12年以上の者、投資先企業等と相互に株式を保有している企業(保有目的の如何を問わない)、投資先企業等の株式を保有している企業、投資先企業等が株式を保有している企業、投資先企業等の主要取引銀行、主幹事証券、業務提携先もしくは主要取引先(投資先企業等を主要な取引先とする企業を含む)、またはそれらに該当する企業グループの出身者で、指名委員会メンバーおよび当該候補者との事前の個別面談の結果および/または過去の取締役会における社外取締役としての実績を勘案し、特段の事情があると判断するに十分な理由がない者を社外取締役候補者に選定した場合は、指名委員会が取締役候補者指名プロセスを適切に実施したことを確認するため、選定に関与した指名委員会メンバーに対して、適格性を有すると判断した十分な理由や、当該候補者が一般株主との利益相反が生じるおそれがないと判断する十分な理由等について説明を求め、合理的な説明ができなかった場合には、当該メンバーの選任に反対する。

また、社内取締役についても、過去に企業価値に重大な影響を及ぼした不祥事や経営混乱等があった場合や株主との利益相反や著しい株主軽視など不適切な実績があった者を取締役候補者として選定した場合は、選定に関与した指名委員会メンバーに対して当該取締役候補者の適格性について説明を求め、合理的な説明ができなかった場合には、当該メンバーの再任に反対する。

(4)剰余金処分
原則として、剰余金処分議案には賛成する。ただし、不適切と思わる剰余金処分や株主還元が行われている場合、取締役選任議案において取締役の再任に反対する。成長投資や設備投資など経営戦略との整合性が合理的に認められる場合を除き、過剰な内部留保など還元可能な現預金等を保有している場合、または、直近のROEが10%未満かつ総還元性向30%未満の場合、取締役の再任に反対する。

(5)役員報酬
・役員報酬体系は、企業価値と連動し、役員のインセンティブ向上に寄与する報酬体系であることを原則とする。
・株式報酬(ストックオプション・信託型・特定譲渡制限付株式等)は、企業価値向上および持続的成長のためのインセンティブとして適切であることが必要であり、権利行使価格や付与株式数、総額等の適切性については個別に判断する。
・社外取締役への報酬について、企業価値向上や持続的成長のための監督機能強化が期待できる場合には賛成する。
・賞与について、経営実績や株主還元の水準と比較して不適切でない場合は賛成する。
・役員退職慰労金については、在任期間中の不祥事、TSR基準やROE基準抵触の有無、支給金額開示の有無を考慮し個別に判断する。

(6)買収防衛策
・買収防衛策について、企業価値向上や持続的成長の観点で合理的な説明がされている場合を除き、原則反対する。なお、有事導入型の買収防衛策については、状況を踏まえ、個別に判断する。

(7)定款変更
・企業価値向上や持続的成長に寄与するかどうかの観点から、個別に判断する。

(8)買収・合併
・買収・合併議案は、一株当たり株式価値向上に寄与するかどうかの観点から、以下の条件を考慮し個別に判断する。
・当該買収・合併により、一株当たり株式価値の向上が促進されること。
・合併対価・交換比率算定の根拠・公平性が十分であること。
・株主と経営陣における利益相反が生じていないこと。

(9)増資
・増資に関する議案は、一株当たり株式価値を高めるかどうかについて分析し、以下の条件を考慮し個別に判断する。
・資金使途が企業価値向上および持続的成長のために合理的であること。(例:企業価値向上に反する買収防衛のための第三者割当増資等は反対する)。
・増資による株式希薄化の程度が、実現される企業価値向上の程度に照らして合理的であること。

(10)会計監査人の選任
・会計監査人の選任議案は、当該会計監査人が当該企業から独立しており、十分な監督機能を発揮できるかどうかを考慮し個別に判断する。

(11)ESG
・ESG関連の議案について、企業価値向上および持続的成長に結び付くかどうかという観点から、個別に判断する。

(12)株主提案
・株主提案は、情報開示強化を主たる目的とした提案を含め、企業価値向上および持続的成長に寄与するかどうかの観点から、個別に判断する。ただし、株主共同の利益に資すると合理的に考え難い特定思想や、特定の株主やステークホルダーにのみに関連する提案は原則として反対する。
・剰余金処分や取締役または監査役の選解任など、会社提案の議案と関連付けて考慮する必要がある場合には、適宜適切な対応を行う。